2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

植木鉢ですよ

KKK

典型的なKKKの幼菌画像です。 http://d.hatena.ne.jp/hira333/20040727

ファーブル先生の観察

一方、ファーブル先生はキノコにたかるウジの観察をしていましたよ。 そこでAmanita属菌が彼らに嫌われていることを発見しますよ。 しかしここでは、毒菌だけでなく、食菌のセイヨウタマゴタケも嫌がっていることも指摘しますよ。 一筋縄にはいきません。 要…

農芸化学科ならではの一節

ムスカリンといふものをもってゐて 虫にも何にも食はれないことが じつに、立派な徳性だらう ベニテンは虫に食われない、というのが賢治の観察。 奥さんこれ、あたってるんでしょうか。 ムスカリンが虫よけになるというのも、いかにもありそうな話ですし。 …

虫とAmanita

宮澤賢治の『おい けとばすな』は、ベニテングタケのうつくしさをうたいあげた口語詩ですよ。 http://why.kenji.ne.jp/haruto3/1053oi.html 先日、この詩の下書き原稿をあさっていたら、こんなおもしろいのがでてきましたよ。

Royall T. Moore 1955. Index to the Helicosporae : Addenda . Mycologia, 49 : 580-587.

5新種を記載し、上に挙げた検索表を補完します。 ■Helicosporium pannosum (Berk. & Curt.) Moore, comb. nov. ■Helicosporium Neesii Moore, sp. nov. ■Helicomyces lilliputeus Moore, sp. nov. ■Helicoma acrophalerium Moore, sp. nov. ■Helicoma Isiola…

Royall T. Moore 1955. Index to the Helicosporae. Mycologia, 47 : 90-103.

Helicosporaeの検索に便利ですよ。 属まで、および各属の種までの検索表ですよ。 検索表に載っているだけのものも採録しますよ。 おもったよりいっぱいありますよ。 ■Trochophoqa simplex (Petch) Moore, comb. nov. ■Helicoma taenia Moore, sp. nov. ◇Heli…

Royall T. Moore 1954. Three new species of Helicosporae. Mycologia, 46 : 89-92.

北米およびパナマで採集された標本をもとに、3種のクルクル菌を記載していますよ。 Helicosporium panacheum Moore は日本でも落葉上などにみられるそうです ■Helicomyces colligatus Moore, sp. nov. ■Helicosporium Linderi Moore, sp. nov. ■Helicosporiu…

クルクル菌(いわゆる Helicosporous fungi)の世界を奥さんへ

人間が認識するさまざまなカタチのなかでも、螺旋形というのは特別にエライとされているらしいですよ。「螺旋は宇宙の根本原理である」などと昔から尊ばれてきましたし、古代遺跡にもしばしばあらわれます。 うずまきのチカラにとり憑かれる人々を描いた伊藤…

「菌野郎」か「洟たれ小僧」か

★岩波文庫版『カラマーゾフの兄弟(下)』米川正夫訳 だが、人間、神なしにどうして善行なんかできるだろう?これが問題だ!おれはしじゅうそのことを考えるんだ。なぜって、そうなったら人間はだれを愛するんだね?だれに感謝するんだね? また、だれに向かっ…

菌野郎

最近、日本の菌野郎として、はっきりさせておきたいことがありますよ。 『カラマーゾフの兄弟』ですよ。 ドミートリィ氏が裁判前日、拘置所を訪れた弟に語るセリフですよ。

小林義雄 1963. Dictyopanus 属菌,特に日本産の種類について. 国立科博研報, 6(3) : 356-364

スズメタケ Dictyopanus gloeocystidiatus Corner は発光性の管口をもったヒラタケ型の小型菌だそうですよ。確実な産地は近畿以西の南日本とされていますが、もともと「スズメタケ」の和名は1916年以来2-3回上野国及び伊予国で採集された重複標本にもとづき…

スズメタケ分布最前線

奥さん、ニュースですよ!スズメタケ(らしきもの)が那智の滝で発見された(発光写真としては本州ではじめての撮影)という報が、日本キノコ協会の掲示板で伝えられていますよ。那智といえば、南方熊楠も那智の神社で発光性キノコの存在を認めておりますよ。 秋…

J. E. Robbers, L. R. Brady and V. E. Tyler 1964. A Chemical and Chemotaxonomic Evaluation of Inocybe Species. Lloydia 27(3) : 192-202.

アセタケ属 Inocybe (Fr.) Fr. の、種間レベルでの分類は、非常にむずかしいとされているみたいですよ。 どんな特徴を分類の主軸におくかによって体系がガラッと変わってきてしまうようです。 じっさい、それまで提案されてきた分類のやり方の間には、ほとん…

蘑蝱と蘑菰

モンゴルの方たちにとって、キノコといえば"цагаан мθθг(白いキノコ)"、モウコシメジですよ。 ほかに"шар мθθг(黄色いキノコ)"、"хар мθθг(黒いキノコ)"もありますが一般的ではなく。 したがって単にキノコを意味する"мθθг(モーグ)が、モウコシメジを…

Sanshi Imai 1937. On an Edible Mongolian Fungus "Pai-mo-ku". Proc. Imp. Acad. Japan, 13 : 280-282.

奥さん。モウコシメジ Tricholoma mongolicum Imai はいかがでしょうか。草原の国の方たちが夢中になって探すキノコですよ。 なにしろ馬やジープに乗り込んで、雨雲を追っかけ何十Kmも走りますよ。 もちろん味は申し分なしですよ。 独特の香りと旨みをもった…

モウコシメジと蘑蝱と蘑菰

最近、中国からキノコを輸出したいという方とメールしてましたよ。 機能性食品としてのイメージが定着しているから、おいしいだけじゃダメかもしれない。 おいしくて、体によいキノコです。

ツブアオバゴケ

唯一同定できた、ツブアオバゴケ。ツバキの葉っぱでみつけました。共生藻はフィルコペルジスという板状の体制をとる藻ですよ。 同定には『原色日本地衣植物図鑑』(ISBN: 4586300523)を使用していますよ。 このほか、シュロ、コクサギ、シャガ、スゲ類の葉…

サザンカの葉にも

↑これはサザンカの葉表面についていました。共生藻は緑藻のスミレモ。地衣体の一部が盛り上がって扮子器をつくりますよ。↓紛子器の壁は無色ですよ。 紛子(分生子)は長円筒形ですよ。葉上生地衣はかなりみつけていて標本も40個ほどとってあるので、詳しく解…

アオキの花火模様

↑これは、アオキの葉っぱでみつけた、花火模様。↓、拡大してみると、表面は平坦ですよ。 クチクラ下にもぐりこむタイプですよ。 (右側にみえる黒い線は、Asterina aucubae Hennings の菌糸なので関係ありませんよ。)これらの葉上に生息する地衣は、かなり…

都心の葉上生地衣

↑都内の公園などをブラブラと歩いていると、常緑樹の葉表面に、このような不思議な模様がよくでています。 タイサンボク・マテバシイについていることが圧倒的に多い。 どうやらクチクラ上に棲んでいるようで、葉の裏面には絶対についていませんよ。↓よくみ…

奥さんへ

奥さん。↓これ、みてくださいよ。「南方マンダラ」のひとつですよ。 単純に自分の世界観を図であらわそうとしてること自体がおもしろかった。でも、いろいろ深くとらえて、着想の根源となった菌のイメージとか、マンダラの思想が研究に与えた影響とかを後の…

冬虫夏草の「虫草」表記をめぐって

「すばらしきキノコたち」などでは、これまでたくさんの造語というか、あまり正くないとされるコトバを使用してきましたよ。 たとえば「病菌」という言葉も白井光太郎が使用していたようですが、いまはつかわれないようですよ。 「サビキン」も、正式には「…

W. Julich 1975. Studien an Cystiden - Ⅰ Subulicystidium Parm. Persoonia, 8(2) : 187-190 & Tafel 31-33.

Subulicystidiumという、ちょっとカビカビした感じのキノコがありますよ。都内ではSubulicystidium longisporum (Patouillard) Parmasto というのが一般的で、世界的にも普通なもののようですよ。この仲間の顕著な特徴は、細い注射針のような結晶物をかぶっ…

小林義雄 1951. 菌誌(1) 新に日本にて發見せられたマッソスポラ属について. 植研雑, 26(4): 117-119.

奥さん。 今年、2004年はワシントンの十七年ゼミ Magicicada(Tibicina) septendecim のアタリ年だったそうですよ奥さん。 google::17年ゼミ google::Magicicada septendecim google::周期ゼミ 北米特産といわれるこの十七年ゼミは、十七年周期で大発生して十…

林と思想

そら ね ごらん むかふに霧にぬれてゐる 蕈のかたちのちいさな林があるだらう あすこのところへ わたしのかんがへが ずゐぶんはやく流れて行つて みんな 溶け込んでゐるのだよ こゝらはふきの花でいつぱいだ 「林と思想」 「蕈のかたちのちいさな林」という…

バタは都心でも発生している

ここからは勝手な推測ですよ。 いまでもブクリョウ子実体は都内に自然発生しているものであり、時期は気温が高くなる夏場、その発生環境はアカマツよりもクロマツ主体の林(お堀沿いなど)。 また子実体は菌核上ではなく切株上、またはその周辺部に形成され…

今井博士の知見

ブクリョウの子実体形成実験は、今井三子博士もやっていたそうで、日菌報にそのことが書かれていますよ[日菌報,3:13(1957)]。 茯苓は培養条件さえ適当ならば,7-10月(主として8月中)にかけて容易に累年子実層を形成する能力があるものであり,又同様なこと…

図鑑のブクリョウ

ブクリョウのカラー写真は、『山渓フィールドブックス⑩ きのこ』(ISBN:4635060500)に掲載されていますよ。 ただしこれ、菌核の写真です。子実体じゃありません。 マツ類などの根周辺に菌核を形成,子実体は菌核上または枯木上に形成されるという。 子実体に…

それらしきモノとの出逢い

ブクリョウの子実体らしきものに出逢ったのは、2003年7月20日でしたよ。 千代田区の北の丸公園の一角でしたよ。クロマツの切株に類白色、全背着性のべったりキノコが拡がりましたよ。不思議に思ったのは、切株のまわりの地面にまで子実体が拡がっていること…

ブクリョウの子実体

小川真著『きのこの自然史』(築地書館,ISBN:4806721980)p. 153 には、ブクリョウ Wolfiporia cocos (Schwein) Ryvarden & Gilb. についての以下のような記述がありますよ。 ぶくりょうを探すにはまず、マツの切り株を見る。切り株の樹皮の下を見て、くさ…