雑録

十五夜さんのキノコ

ハチスタケ。 上記の原先生が発見されたキノコですよ。兎の糞上から見いだされている菌で、写真のごとく長い柄をもつ子座を形成する変わった糞生菌ですよ。 1915年、原先生による報告が発記録とおもわれますよ。*1 このとき原は故郷の岐阜県川上村に病気療養…

ファーブル先生の観察

一方、ファーブル先生はキノコにたかるウジの観察をしていましたよ。 そこでAmanita属菌が彼らに嫌われていることを発見しますよ。 しかしここでは、毒菌だけでなく、食菌のセイヨウタマゴタケも嫌がっていることも指摘しますよ。 一筋縄にはいきません。 要…

農芸化学科ならではの一節

ムスカリンといふものをもってゐて 虫にも何にも食はれないことが じつに、立派な徳性だらう ベニテンは虫に食われない、というのが賢治の観察。 奥さんこれ、あたってるんでしょうか。 ムスカリンが虫よけになるというのも、いかにもありそうな話ですし。 …

「菌野郎」か「洟たれ小僧」か

★岩波文庫版『カラマーゾフの兄弟(下)』米川正夫訳 だが、人間、神なしにどうして善行なんかできるだろう?これが問題だ!おれはしじゅうそのことを考えるんだ。なぜって、そうなったら人間はだれを愛するんだね?だれに感謝するんだね? また、だれに向かっ…

奥さんへ

奥さん。↓これ、みてくださいよ。「南方マンダラ」のひとつですよ。 単純に自分の世界観を図であらわそうとしてること自体がおもしろかった。でも、いろいろ深くとらえて、着想の根源となった菌のイメージとか、マンダラの思想が研究に与えた影響とかを後の…

林と思想

そら ね ごらん むかふに霧にぬれてゐる 蕈のかたちのちいさな林があるだらう あすこのところへ わたしのかんがへが ずゐぶんはやく流れて行つて みんな 溶け込んでゐるのだよ こゝらはふきの花でいつぱいだ 「林と思想」 「蕈のかたちのちいさな林」という…

蕈は汝を腐らさん

白人 白人 いづくへ行くや こゝより奥は 暗の森 藪は汝の足をとり 蕈は汝を腐らさん ちがひなしちがひなし 藪は汝の足をとり 蕈は汝を腐らさん 文語詩『スタンレー探検隊に対する二人のコンゴー土人の演説』 この詩から容易に想起され、中央アフリカに分布し…

名前のしらべかた

一般にキノコなどのイキモノを同定するときには、これじゃないかと見当をつけた種類のタイプ標本か原記載にあたるのがのぞましい、とされていますよ。 菌株を分譲してもらうという手もあるらしいですよ。タイプはうしなわれているなり外国にあったりする場合…