今井三子 1935. 昇龍菌科の分類とその邦産の種類〔Ⅱ〕. 植物及動物, 3(10):26-30.

本稿からは各論にはいりますよ。 アミガサタケ属 Morchella Fr. を直生區(Sect. Adnatge)、隔生區(Sect. Distantes)、帽状區(Sect. Mitrophorae)にわけた検索表、および6種の解説がなされていますよ。 以下の6種を採録しますよ。 菌名が変わっているものもあ…

今井三子 1935. 昇龍菌科の分類とその邦産の種類〔Ⅰ〕. 植物及動物, 3(9):45-49.

物事やシステムは往々にして単純から複雑へ向かうものらしいですが、複雑きわまりないイキモノの多様性を把握しようとする分類体系というものも、おおかたこの法則にのっとっているような気がしてきましたよ。 たとえば1823年Friesの時代、Elvellaceaeという…

E. J. H. Corner & C. Bas 1962. The Genus Amanita in Singapore and Malaya. Persoonia, 2(3):241-304 & Plate 1-12.

アマニタケさんやMushyさんなど、ファンの多い分野であるテングタケ。本稿は、その後のBas論文と双璧をなすテングタケの基本文献。あらたに22種が記載されていますよ。 すでに活躍しはじめていた本郷博士の報告も3つ引用されております。 線画は精緻なものが…

檜葉椿

〔塵添埃嚢抄〕巻第十六 〔檜葉椿[ヒバツバキ]〕弘法大師の御出家、受學の樣如何、云云延喜二十一年辛。弘法大師の謐號あり、云云槇尾に御座[井マシ]し時、云云又檜葉を以て御手を摩淨して、便宜にありける椿の上に投け撃ちて、曰く我が宿願果して遂く可…

小林義雄 1950. 菌類間の重複寄生による變態 (2). 植研雑, 25(6):107-111.

前回につづいて多数の重複寄生の例があげられていますが、採録は以下の5種のみとします。 ◇バクカクヤドリタケ Cordiceps clavicipiticola Tok. et Imai ◇Cordiceps lavicipitis Oertegren ◇アオキノコヤドリタケ Peckiella luteovirens (Fr.) ◇アカハツヤド…

小林義雄 1950. 菌類間の重複寄生による變態 (1). 植研雑, 25(5):69-72.

菌類間の重複寄生というのは決してめずらしくない現象で、その気になればそこらへんのカビ類からその実例を見出すことができますよ。 本稿では、「不完全菌類の束状體が他の菌の子實體上に群生する場合」3例について解説しておりますよ。 前半には重複寄生の…

K. Tubaki 1975. Hypomyces and the conidial states in Japan. Rept. Tottri Mycol. Inst., 12:161-169.

ヒポミケス菌というのは高等菌類に寄生する有名な菌纏ですよ。 なかにはキノコの奇形をひきおこし、タケリタケなどとよばれることもあるとか。 本稿では日本でみられるヒポミケスについての総論と、そのうち9種の簡単な説明がなされています。 ◇Hypomyces au…

澤田兼吉 1914. 日本産蟲生菌ノ珍種(承前). 植雑, 331:307-314.

前記文献にひきづづいて、以下の5種が記録されましたよ。 ■Aschersonia Kawakamii Sawada, sp. nov. □Cephalosporium Lecanii Zimm. ■spicaria Araneae Sawada, sp. nov. ■Gibellula formosana Sawada, sp. nov. ■Fusarium Aspidioti Sawada, sp. nov.

澤田兼吉 1914. 日本産蟲生菌ノ珍種. 植雑, 330:270-271.

虫生菌、すなわち虫に寄生して殺してしまう菌のことが書かれていましたよ。 Aschersonia Aleylodis Webb. に完全世代があると知って、とりよせた資料ですよ。虫生菌を生物農薬として利用しようという研究は、かなり早くからされていたようで。 とくに、農作…

非日常なキノコ

おしえてメールで一番おおいのは、庭とか会社の敷地にキノコが突然はえてきたり、買ったキノコに毛がはえたりして(脱分化?)、びっくりして聞いてくるパターンですよ。 日常のなかの非日常ですよ。 昔ならシャーマンとかに、おうかがいをたてるわけですよ。 …

質問のメールが来ますよ

サイトで公開したアドレス宛にとどく、いろんな方からの名前おしえてメール。文面からニーズを見極めたうえで、全魂を傾けたお返事を書くわけですよ。 丁寧にお返事を書くと、標本を送ってもらえる確率が高くなりますよ。 返信には2週間〜3ヶ月ぐらいかかる…

Seiya Ito and Sanshi Imai 1940. Fungi of the Bonin Islands. Ⅴ. Trans. Sapporo Nat. Hist., 16(3):121-138

最終回では56種が記載されてますよ。オガサワラカミコウヤクタケはMaekawa(1993)がホロタイプを調査してHyphodermaにうつされましたが、最近では皇居でもみつかりましたよ。 □フキイロタケ Polyporus nitidulus Berk. et Curt. ■カネオタケ Polyporus Hinoi …

Seiya Ito and Sanshi Imai 1940. Fungi of the Bonin Islands Ⅳ. Trans. Sapporo Nat. Hist. Soc., 16(2):45-56.

シリーズ第4弾は30種が報告されてますよ。 ムニンヒメチャヒラタケ Crepidotus uber (Berk. et Curt.) Sacc.は、最近皇居から発見されたそうですよ。 ◇キヌオオフクロタケ Volvaria bombycina (Schaeff. ex Fr.) Quel. #Volvarella bombycina (Schaeff. ex F…

Seiya Ito and Sanshi Imai 1939. Fungi of the Bonin Islands Ⅲ. Trans. Sapporo Nat. Hist. Soc., 16(2):9-20.

今回は29種が記載されましたよ。 うち16種が新種となりますよ。 ■オオノウタケ Calvatia boninensis S. Ito et Imai, sp. nov. ◇コガネキヌカラカサタケ Lepiota lutea [Bolt.] Godfrin #Leucocoprinus birnbaumii (Corda) Sing. □オガサワラキヌカラカサタ…

Seiya Ito and Sanshi Imai 1937. Fungi of the Bonin Islands Ⅱ. Trans. Sapporo Nat. Hist. Soc., 15(2):52-59.

Ⅰにひきつづいて小笠原産の珍妙なキノコ10種が記録されてますよ。 シロコップタケという珍妙なキノコを、菌学者BoedijnにちなんでBoedijnopeziza S. Ito et Imai(シロコップタケ属)を設立しましたよ。 ところが当のK. B. Boedijn(1951)がBoedijnopezizaを…

Seiya Ito and Sanshi Imai 1937. Fungi of the Bonin Islands Ⅰ. Trans. Sapporo Nat. Hist. Soc., 15(1):1-12.

日本のキノコ研究の幕開けはいつ?ときかれたら、とりあえず縄文時代とかこたえようと思っているのですが、公式には違うそうですよ。 北太平洋探検隊(1853-1856)チャールズ・ライトの標本をもとにした報告(Berkeley and Curtis,1860)こそが、学名が記された…

D. N. Pegler 1976. A Revision of Entolomataceae(Agaricales) from India and Sri Lanka. Kew Bulletin, 32(1):189-219

インド・スリランカ産イッポンシメジ25種を図説してますよ。 1新種が記載され、12の新組合わせが提唱されてますよ。 Entoloma purpureum Petch らしきものを見つけた時にとりよせた文献ですよ。 本稿では、Claudopus、Eccilia、Pouzaromyces、Alboleptonia、…

伐木出血

〔萬物怪異辯談〕巻八 老樹、巨木の中心に、空缺有て、木の液汁膏旨溜りて、濕熱に變じ、赤色と成るもの流出するを、血出たりと云し類もあり、予が知己語て、曰く我外祖の故宅に、大なる柳樹あり、其始を不知、老古木なり、其孫伐之、時に樹中より血流出と、…

Eiji Nagasawa 1988. Notes on four species of Xylariaceae. Rept. Tottori Mycol. Inst., 26:6-14.

4種のクロサイワイタケ科菌が報告されてますよ。 『日本隠花植物圖鑑』などを見ると、ホソツクシタケは「Xylaria carphophila (Pers.) Fr. 」となっていますよ。 しかしじつは、X. carphophilaはブナの殻斗から出るもので、ホソツクシタケとは別物であること…

核無ノ李

〔日光驛程見聞雑記〕天保癸卯多紀安長著 〔核無ノ李〕 粕壁より西へ、二里斗りあなた岩槻領の慈恩寺といふ寺の中に、七不測ありと傳え聞、(中略)坂東十二番目の札所なり、昔此所の池に毒蛇すみて、人を腦す大師來たり玉ひて、護摩を焚ひて、これを得脱せし…

はしがき

おのれはやく、からやまとのくさぐさのふみどものうちより。くさきのやまひにかゝはりたるふるものどもをぬきいでゝ。いさゝかそのことのゆゑよしをわきまえたゞし。植物病理知新と名づけて。おのがおほえとし。かつはひとにもしめさむとおもひたちて。かれ…

等方性と異方性

柄の縦方向の切片をつくって、検鏡してみましたよ。 検鏡結果; ところどころで菌糸の末端がみられましたよ。 末端細胞が、棍棒形のどでかい形状になっていましたよ('pressure cells','fundamental tissue')。 その棍棒状細胞のねもとあたりから、こまかい菌…

組織をみてみる

以上はしょせん、思考実験ですよ。 均一な材料で構成されていると仮定した場合の話ですよ。なにしろ柄は菌糸で構成されてますよ。 糸ですよ。 張力には強いかもしれないけど、荷重をささえるのはむずかしいんじゃない?と、貝柱の佃煮をつまみながら思いまし…

断面二次モーメントで考える

棒状の剛体の剛性は、断面二次モーメントに比例しますよ。 そして断面二次モーメントは、断面の形状によって決定されますよ。柄はたいてい円柱形ですよ。 断面はまるいですよ。中空円筒の外径をa、内径をbとして、断面二次モーメントIは、 となりますよ。 中…

柄のはたらきに注目する

最近、エノキのホイル焼などをつまみながらつくづく思いますよ。 キノコの"柄"って、深いですよ。 地上生で傘があるキノコの場合、柄の必要性は一目瞭然ですよ。 しかし、そのぶん見逃されがちな機能や特性は多いとおもいますよ。一般に柄は胞子をつくらない…

Tsuguo Hongo 1961. On Some Agarics of Japan. Ⅳ. Mem. Shiga Univ., 11:39-42

本シリーズでは新産種報告や英文で記載をおぎなったりというのがほとんどでしたが、この最終回では1新種が報告されていますよ。 直後にCorner & Basに引用されましたよ。 線画も細くなり、レイアウトもかっこよくなってきましたよ。 このスタイルは翌年から…

Tsuguo Hongo 1957. On Some Agarics of Japan. Ⅲ. Mem. Shiga Univ., 7:41-45

このシリーズは全4回。後半にはいってやっとマクロの線画があらわれましたよ。 今回は8種を図説、うち3種が日本新産として報告されましたよ。 □ウバノカサ Hygrophorus lacmus Fr. #Camarophorus subviolaceus (Peck) Sing. □ヤケノシメジ Lyophyklum sph…

Tsuguo Hongo 1957. On Some Agarics of Japan. Ⅱ. Mem. Shiga Univ., 6:31-35

本稿では7種3変種が報告されましたよ。 うち4種は日本新産。 □ザラツキキヤマタケ Hygrophorus turundus Fr. #Hygrocybe turnudas (Fr. :Fr) Karst. □ミズゴケノハナ Hygrophorus turundus f. sphagnophilus (Pk.) Smith et Hesler #Hygrocybe coccineocrena…

Tsuguo Hongo 1956. On Some Agarics of Japan. Ⅰ. Mem. Shiga Univ., 5:57-63

Ⅰで日本産として報告された以下の12種を採録しておきますよ。 うち6種は日本新産ですよ。 日本新菌類図鑑と菌名がちったときなどは、シャープのあとにかいておきますよ。 □キチャホウライタケ Xeromphalina cauticinalis (Fr.) Kuhner et Marie #ヤチハリガ…

Sanford M. Zeller and Alexander H. Smith 1964. The Genus Calvatia in North America. Persoonia, 27(3):148-186.

ノウタケ属 Calvatia のことが書いてありましたよ。ノウタケ。漢字は脳茸ですよ。 叩くとホコリがでますよ。なべさんの「ノウタケ叩く」は必見ですよ。手塚治虫作品にもでてきますよ。 あの「ヒョウタンツギ」のモデルになったとか、ならないとか。 とくに「…